「1900年」
どんな映画を観ると面白いと感じるのか。感じ方はひとそれぞれだ。決して見方は一つ
ではない。アカデミー賞受賞作品だから面白いかといえばそうでもないし、逆にB級映画
だからといってつまらないわけでもない。映画はいろんな感じ方のできるものなのだ。
「1900年」という映画。この数字の並びを見て思い浮かべるのは「2001年宇宙の旅」。
スピルバーグの「1941」なんてコメディもあった。しかし「1900年」はSFでもコメディでも
なく、純然たるドラマなのだ。
しかも、その映像の長さが半端じゃない。316分、5時間と16分もある大作だ。しかも、
イタリア・フランス・ドイツの三国共同製作。こんな映画を撮る人といえば、イタリアの巨匠
フェデリコ・フェリーニを除けば、ベルナルト・ベルトリッチだけである。しかもその内容は、
非常に濃いものとなっている。
冒頭、イタリアの農村風景。そこを足早に過ぎる老人夫婦。はじめはよくわからないが、
この老人どこかで見た顔だ。ドナルド・サザーランド、その人である。するとそこに一人の
少年が通りかかる。ドナルド・サザーランドはその少年をピストルで撃つ。少年が言う。
「もう、戦争は終わったのに・・・」
ピストルの音がこだますると同時にどさりと倒れ込む少年。人々が躍起になって二人を
追いかけている。
大農園を持つ地主の孫息子アルフレード、そこの小作人頭の孫息子オルモ。1900年の
夏の同じ日に生まれたふたりの主人公が、お互いの人生の違いに不思議を感じながら
惹かれあい反発しながら、歴史の流れの中で生きていく。背景に流れるイタリアの農村
の風景が美しく、その中に生きる人間がまさに”生きていること”を実感させてくれる。
階級は違うが、いつも仲良しの子供時代。そしてアルフレードは地主の跡継ぎに、オルモ
は農民運動の闘志にと育っていく青春期。終戦後、二人はまた出会い、そして昔に戻る。
孫息子アルフレードにはロバート・デ・ニーロ、小作人頭の孫息子オルモにはジェラール・
ドパルデュー。地主にはバート・ランカスター、その他、ドナルド・サザーランド、ドミニク・
サンダといった脇役人も豪華な顔ぶれ。ロバート・デ・ニーロ演じるアルフレードの坊ちゃん
ぶりがしごく感じがでている。ジェラール・ドパルデューも現在のようなデブの代表のよう
な体ではなく、引き締まった顔と体、そして活動家の目をうまく演じているのがすばらしい。
ドミニク・サンダの都会的な美しさ、それに対する農村の美しさが微妙なズレを感じさせ、
その後の展開を暗示させる。
普通、ドラマというと人間模様だけに重点が置かれがちだが、この「1900年」は主人公
二人の生き方と、その背景であるファシズムの台頭というイタリアの歴史、そしてドミニク
・サンダと地主の息子アルフレードとのメロドラマといった様々な要素が入り交じる壮大な
スケールのドラマとして完成している。様々な出来事が5時間16分という時間の長さを
感じさせず、一気に見ることができる。すばらしい。
映画を観て感じるには、登場人物の一人に感情移入するのが一番簡単だ。そしてこの
「1900年」の場合、いろんな人々が登場するので、その中の一人に必ず、時分の分身
がいるはずだ。少なくともこの映画は登場人物の数だけ見方があるということだ。
オレコレ初にして、きっと最大スケールの映画、ぜひご覧ください。
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