「スクリーム2」 SCREEM2 1997年 122分
監督:ウェス・クレイヴン
出演:ネーヴ・キャンベル/コートニー・コックス/デヴィット・アークェット

 この映画の一番面白いところは、ただのホラーでない、というところだ。ただのホラーでなければなんなのか?これは映画ファンを楽しませるためのパロディ満載のホラー映画なのだ。映像はパロディ繰り返し、ストーリーもまたしかりである。だからこそこの映画を観る時には相当数のホラー映画を観ておかないと楽しみが半減する。
 まず一番観ておかないといけないのはやはり前作である「スクリーム」だろう。じつは前作もパロディ満載だったがたいして面白くなかった。確かに”この映画はパロディだよ”とはじめから言わんばかりにホラー映画ヲタクのランディに事件を映画評をまじえて解説させる手法はなかなか面白かった。ただ「スクリーム2」における彼のセリフには前作のそれをはるかに上回る何かを感じさせてくれる。

 ”続編は低質と相場が決まっている。”

 このセリフは逆に制作者側のこの作品に対する意気込みを感じさせてくれる。”低質”と自らを卑下することによって逆に作品の内容を面白くみせるというのもなかなか面白い。もちろんこのセリフはただそれだけのためのセリフではない。続編として封切られる映画のそのほとんどがまさに”低質”なものであり、それに対する風刺でもある。実際、映画を多く観ている人間にとって”続編の法則”はまさにランディの話すそれである。
 そんなわけで作品中どうしても目を離せないのがランディである。前作では高校生だったこともあるがあか抜けておらず、イマイチ存在感が薄かった。しかし今回は映画論だったか芸術論だったかの授業で演説をぶつシーンもあり、存在感をアピールするためのコマ割りもちゃんとある。そしてこれがただの”低質”なものの1シーンに収まらないのはそのスピーディな展開とランディの語りによる物語の盛り上げ方のうまさにある。役者はともかく脚本は非常によくできている。実際書いている人間は相当楽しんで書いているだろう。なぜなら1シーン1シーンが見事にセリフと映像がマッチしているのだ。無駄なカット割りがないのも映画の中だるみをなくすのに一役買っている。
 ただ、この映画、ただのホラー映画として観た場合、決して面白くはない。もともとパロディホラーである。元ネタがわからないとその楽しさは半減する。少なくとも「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」「デモンズ」など、そのあたりは網羅しておかないとなんのことだかさっぱりわからないシーンの連続だろう。さらに言えばホラーではなく、また映画でもないが「ビバリーヒルズ高校/青春白書」は全部観ておいたほうがいい。すると中で登場する変てこな女優トリ・スペリングのくだりも笑える。キャーキャー騒ぎまわっている社交クラブの女の娘もじつは「ビバリーヒルズ高校/青春白書」の出演者が登場。まったくどこまでもパロディとギャグ満載のシニカルサスペンスホラー”シンプソンズファミリー”みたいな映画だ。
 映画は観るたびに発見がある。この映画もその例にもれない。そしてまた何年か後に観た時、あそこでみた1シーンというのをこの映画の中に発見することができるはずだ。この映画の特筆すべきは繰り返し書くように全編パロディであるがために、何年か後で観た時でも十分に笑えるだろうことである。ホラーというジャンルに分けられる映画だが、この映画は映画史に置いても十分に価値のある、少なくともランディのセリフは映画論として十分に納得できる内容であり、そのセリフをきくためだけにこの映画を観たとしても決しても損はない。ホラーなんて・・・という人はぜひホラー作品を何本か観た後、もしくはこの作品中、セリフの中に出てきたホラーをなぞるだけでも面白いのではないだろうか。ホラーは十分にエンターテイメントである。それを感じさせてくれる映画はこれをおいて他にない。ぜひ観て楽しんでほしい。
 最後に惜しむらくは、トリ・スペリングが前作のドリュー・バリモアよろしく惨殺されるシーんを期待していた僕としては、彼女がただテレビの中の1シーンにしか出演しなかったことが残念でならない。「スクリーム3」も制作されるということらしいので、ぜひそちらのほうではトリ・スペリングを細切れのミンチにまで惨殺してくれることを望むばかりである。

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