移動体通信入門 その3

そのまた次の日
 前回はPCカードベースの端末であるパルディオ321SでもDDIの登録ができることがようやく判明した。ほんとは前回のうちに登録して使用するというところまで行き着きたかったが、なにぶん予定というのはあくまで予定である。そして志望校に合格するのが難しいのと同じように予定通りに事が運ぶなんていうのはほとんど奇跡に近いのである。

 登録は京都寺町の電気街にあるDDIの契約店でもできるということだった。実際、いつも足を運んでいる店だったので気軽な気分で登録に出かけた。

・某寺町入ってすぐのタニヤマムセンの場合
 まず一番近い店に足を運んだ。それが某タニヤマムセンである。電話機を購入し新規契約する際には電気街の入り口にある店ということもあって若干高めの価格設定だが、今回は端末を持ち込んでの新規登録なのでどこでもよかったのである。

 電話屋というのはおもしろいもので、たいていの場合、”DDIポケット”や”NTTDoCoMo”と入ったスタジャンというか、それらしきものをきたお姉ちゃんがかまえている。かといってDDIのスタジャンのお姉ちゃんにNTTのことを聞いても、けっこ〜サクサク答えてくれるのではたして店員が”DDIのスタジャンをきているだけ”なのか、それとも”DDIから派遣のお姉ちゃん”なのかということがけっこ〜疑問だ。

 ま、それはさておき、ここも例にもれず店頭にはお姉ちゃん方が数人構えていた。僕はアイラインの濃いちょっぴり細川ふみえ似のお姉ちゃんに声をかけた。くれぐれも断っておくが僕の趣味が”細川ふみえ”ではない。たまたま声をかけたのがちょっぴり細川ふみえ似だっただけなので誤解しないでほしい。

 僕「あのぉ すみません、お暇でしたらお茶でもいかがですか?」

 とは言わない。

 僕「あのぉ すみません、ちょっとおうかがいしますが
   NTTの端末を持っているんですが、これにDDIポケットの番号をいれて
   新規契約することは可能ですか?」
 細川「・・・?
    NTTさんの端末にDDIの番号ですか??」

 なぜそんなことをするんだ、と言わんばかりの顔をされる。そりゃ確かにこんなことを頼むのはちょっと変だ。実際、僕が店員でも素直に”はい”とは言えない気がする。

 細川「えー・・・NTTさんの端末でDDI登録ですね?
   ・・・はい、できます。ただできるんですが
   ちょっと上のものと相談しないことには私の一存ではなんとも・・・」
 僕「そ、そんなにややこしいもんなんですか?
   でもできるのはできるんですよね?
   一応、DDIのサービスセンターのほうに電話して
   こちらのほうで登録していただけるというのは確認してきたんですが?」
 細川「はい、できることはできるんですが、
   いろいろ販売店のからみというのがありまして・・・」
 僕「そうですか、難しそうですね。
  とりあえず他の店もあたってみます。」
 細川「またよろしくお願いします。」

 できるのにできない・・・謎を残したまま、僕は某タニヤマムセンを後にした。

・某ヒエンドーの場合
 ここがきっと京都寺町の電話屋では一番品揃えも多く、値段も安い。僕はいつもここでお願いしている。ここ最近は現在契約しているPHSの機種変更のこともあって、足を運ぶ回数も多く、いつも対応してくれる女性の対応もいい。しかしこの日は平日ということもあっていつもの女性の顔は見えなかった。かわりにハキハキとした店員が応対してくれた。

 僕「あのぉ、すみません、NTTの端末を持っているんですが
   こちらでこの端末にDDIの番号をいれることはできますか?」

 じつはすでに以前にここでは同じ質問をしており、番号をいれられることは確認している。ただ「確認済みなのでいれてください」というのもあまりに横柄なので、順序を守って質問をしたまでだった。

 店員「は?NTTの端末にDDIの番号ですか?
    そんなの聞いたことないですねぇ」

 店員は笑顔で失礼な応対をする。。

 僕「一応、DDIポケットのサービスセンターにも確認して
   こちらで入れていただけるという話だったので
   こちらにおうかがいしたんですが?」

 店員は笑顔の中にけげんな顔をする。はりついたような笑顔と営業トーク、そのうえ調べにいこうというそぶりさえ見せない。名札には小村とあった。この名前は忘れない

 小村「いや、うちではやったことないですから、できません」

 ”やったことがないからできない”とはいったいどういうことだろう。新発売の製品を売ったことがないからといって売らない店員がいるだろうか?

 僕「それはあなたがやる気がないからできないだけであって
   できるけどやらないということではないんですか?」

 僕もいい加減ふざけた対応に腹が立った。いつもの女性が親切なだけにさらに3倍腹が立った。失礼かとは思ったが攻撃的な発言をした。

 小村「できません。少なくともうちではやったことがないのでできません。
    DDIさんのほうでできると言われても、
    うちではやったことがないのでできません。」
 僕「そうですか、それじゃ他をあたります。」
 小村「ありがとうございましたぁ」

 最後に”ぁ”をのばすのがまたふざけている。はっきりいって客を馬鹿にする態度にもほどがある。僕は最高に立腹して店を後にした。

 後日談になるが、結局僕はここでいつもの女性店員、浅野さんがおられる時にPHSの機種交換をした。あの時の店員はまったくもって失礼な奴だったが、浅野さんは非常に信頼でき、かつ親切だ。あの店員だけが特別失礼であったということを某ヒエンドーの名誉のために、そして常々対応してくれていた浅野さんのために追記しておく。今回のようなことは確かにややこしいことかもしれないが、せめて調べるくらいの対応はほしい。そのうえでのことであれば納得もいくが、あの店員の対応だけは思い出しても腹がたつ。自分自身の心の狭さを呪うと共に、今後ああいった店員が出てこないことを望むばかりである。

・某NAMUの場合
 この店にはドアという概念がない。というか、ドアがない。冬寒く夏暑い店の典型といっていいだろう。しかし春先にはお客は入りやすい出やすいいい店である。京都らしいうなぎの寝床のような細長い店内には、携帯電話、PHSの他にもデジカメ、PDAの類がところ狭しと並んでいる。

 店内にいた中年の男性店員に声をかける。余談だが店にいる中年店員の役割は決して窓際族と同じではない。若い店員からマニアックな説明をうけるよりも、中年店員の信頼感あふれる言葉ほうが客にとっては聞き易い。だからこそもっと中年店員のみなさんには勉強していただきがんばっていただきたいところだ。

 僕「あのぉ、すみません。」
 中年「はい?」

 閉店間際だったこともあり、店員さんの対応は退職間近の窓際族の声と変わらぬトーンだった。これはどうもさい先が悪いと内心暗くなった。

 僕「ちょっとお聞きしたいんですが、
   こちらでNTTさんの端末にDDIの番号を入れることはできますか?」
 中年「へ?NTTにDDIの番号ですか?」
 僕「はい、そうです。」
 中年「できないと思いますけど?」

 ダメだ、すでに否定の言葉が・・・。今日はもう登録できないのか?

 僕「いや、一応、こちらでDDIさんのほうにはおうかがいして
  できるという話だったので、こちらにお邪魔したんですが?」
 中年「そうですか、ちょっと待ってください。」

 電話に走りDDIに確認をしにいく様子。おっ、ちょっと明るい兆しが・・・

 中年「お客さん、すみません、DDIのほうでは”できない”という回答なんですが?」

 DDIのサービスセンターに問い合わせてしまったようだ。しかも昨日の今日なので、サービスセンターのほうではまだ答えが徹底されていないらしい。

 僕「DDIのサービスセンターではダメだと言われるんですが
   データ通信のサービスセンターのほうではちゃんと大丈夫だと
   回答いただいています。
   データ通信のサービスセンターのほうに電話していただけると
   大丈夫という回答が返ってくると思います。

 店員さんは仕方なしにもう一度電話をかける。僕も無理は言いたくないが三軒目である。しかももう閉店間際なのでここで断られるともう次がない。

 中年「お客さん、DDIのほうに問い合わせてみましたが
    できる・・・ようですね。」

 早速、申込書に記入し、本体を渡す。しかし、残念なことにもう閉店なので本体はそのまま置いて帰ることとなった。そして明日の昼以降に取りに来てくれと言われた。店を出る時、店員総ざらえでPHSの番号入れ機のまわりに集まり、

 「わぁ、すごい、ほんとできるんですねぇ」

 と騒いでいたくらいなので、まったくこんなことをお願いするのは僕くらいなんだろうな、と改めて確認した。ま、なんにせよPHSへの番号入れができたので、僕はようやく枕を高くして眠れるのだった。そしてあとはPIAFSでの接続をテストするだけだ。

PIAFSでの接続
 次の日、夕方に店にPHSを取りに行った。すでに番号入れは完了しており、あとはがちゃんとLibrettoに差し込み通信するばかりである。とりあえず持って帰ってテストすることにした。

 しかし、友達の家から持ち帰ったのは本体と充電器のみなので、本体を差し込んだところで認識するはずもない。早速、NTTのHPからドライバをダウンロードし、ようやく認識させることに成功した。

 ようやく通信できる環境になったが、僕が契約しているプロバイダには京都にPIAFSのアクセスポイントがあるところがない。仕方がないのでASAHI-NETの大阪のアクセスポイントにアクセスしてチェックしてみることにした。家の中からなので若干電波の状態がよくないことが気にかかるが、なんにせよそこしかアクセスポイントはないし、そのためだけに家の前の道で通信するというのも間抜けな話だ。結局、電波の状態はよくないながらも家の中でのチェックということになった。

 

phs.GIF (21802 バイト)

▲通信中の様子、しっかりぬりかべHPの表紙が表示されている。

 だが、やはり電波の状態がよくないのでダイヤルしている途中で切れてしまうことが連続した。もはやこれまでか、とあきらめかけたその時、遂にPIAFSでASAHI-NETへと接続できた。もしあの時、接続できなかったとしたら、僕は家の前の道でテストをしていたに違いない。まったくあそこの家の人はおかしなことをするというような目でご近所に変人扱いされ、その後いったいどうなっていくかは想像に難くない。接続できたことで僕は神に助けられたような気がした。

 ただ繋がりはしたものの、やはり長くは繋がらなかった。とりあえずぬりかべHPの表紙は確認できたのでそれだけでもよしとした。外から普通にアクセスする場合には通常のPHSとかわらぬ状態で接続できることは確かだろう。なによりNTTの端末でDDI契約し、そのDDIの回線を使って接続できたということに僕は満足した。

 続いて京都の一般アクセスポイントにもダイヤルしてみた。通常のαDATA32の場合は、通常のISDN回線に接続すると32kで繋がり、これはこれで快適である。しかし、今回はNTTの端末なのでαDATA32は使えない。かといって9600bpsくらいで繋がってくれれば、これはこれでメールチェックくらいには使えるな、とちょっぴり期待してみたが、世の中まったくそんなに甘くはない。ダイヤルはするものの、接続はできない。ぴーがががががっの後もずっとががががががっが続くばかりである。やありPIAFSのみの対応なのである。当然のことだが、Pメールも使えない。ま、これについてはあまり困ることはない。なによりこの端末を使うのは僕ではなく父親なので、Pメールの相手がいるとしたらそれはそれで困りものである。

まとめ
 長くかかったが、NTTの端末をDDIで登録するということは可能のようである。DDIのPCカードベースの端末というと京セラのデータスコープだけしか存在しないが、これでNTTの611Sはじめとする端末も一応選択肢に入れることができる。611Sは64k端末なのでまだまだ値段も安くないが341Sなら型落ちで安く売っているかもしれない、もしくはいらないという人からもらって登録するということも可能である。もっともこの場合、PメールもPメールDXもなく、αDATA32もないのでDDIのメリットをほとんどかなぐり捨てての登録ということになるが、首都圏であればPIAFSのアクセスポイントに困ることもなく、またPメール、PメールDXも相手がなければ意味のない機能なので、これはこれで割り切れないこともない。割り切って使えばNTTの端末をDDIで使うということも可能なのである。もっともこれもDDIにこだわった場合の話で、DDIにこだわらなければNTTとそのまま契約して使うのが一番有効であることもまた確かである。

 とはいえDDIのメリットは他にもある。料金体系である。NTTの場合、一番安い料金は月々1980円のプランということになるが、DDIの場合は980円の安心だフォン契約がある。もっともこれは専用の端末になるので、NTTの端末は使えない。では次に安いプランといえば得々プランの1350円というプランが契約可能である。今回もこの1350円のプランで契約した。このプランでは月々の基本料金が通常の半額のかわりに通話料金が前日通常の倍という鬼のプランである。しかし、データ通信に関しては通常のプランと変わらぬ料金なのでデータ通信中心であれば全く問題はない。かかってくる通話に関しても料金はPHS標準価格である。他の電話にかけることがなく、またPIAFSのみの接続で困らない、かといって着信はしないと不便という人にはこのプランがお勧めである。しかもこれでコンパクトフラッシュベースのNTT端末を使えるのでこれはこれで有効な活用手段と言えなくもない。

 今後の展開として64kが主流になっていくことと思うが、これについてもDDIがNTT方式(PIAFS32k*2)をとるとすれば611Sを手にいれればDDI契約でも問題なく64k対応端末ということになる。もちろん、DDIが64kに対応した場合にはDDI自身からも64k端末が登場してくるはずなのではたしてその時に611Sよりも機能的にもデザイン的にも優れたものが出てくるのか、そのあたりが非常に興味をそそられるところである。そしてまたPHS事業の不振ということもあるので、今後はNTTの端末でもPメールの標準化、またEメールの方式の共通化という点で同じ機能が使えるようになっていってほしい。そうすればNTTの端末をDDI契約するというメリットがもっと大きくなってくるのだが・・・はたして両者がこのまま合意せず共倒れにならないことを祈るばかりである。

 ここでは僕の個人的な趣味でPCカード一体型端末の話ばかりしてきたが、実際のところ普通のNTTの端末+NTTのデータカードという組み合わせでも同じことが可能である。NTTの端末に素晴らしいデザインのものが登場し、それをDDI契約して使うということは、それが一体型端末でなくても可能なのである。ただしこの場合、コネクタの形状の違いからNTTのデータ通信カードが必要になり、かつPIAFSのみサポートである。なんにせよ、そういったわけで最新のNTTの端末すべてがDDIの守備範囲になりえるのである。

 現在のところNTTの端末をDDI契約する一番のメリットというのは”選択肢が増える”ということである。これは個性を重んじる現代においては非常に意味のあることだと思う(あくまで主観)。逆にそれ以外に大きなメリットというのは見あたらない。ただそういったマニア心を刺激され、そしてそのこと自体に満足し、自分自身の心が満たされるのであればそれそれで大きな意味があると言える。今後両者にもっと多くの魅力的な端末が登場することを期待したい。そうすればもっと多くの個性の選択が可能になるのだから。

Back?