移動体通信入門 PHSから-H"へ

PHSを愛して
 僕がPHSを使い始めたのは3年以上も前のことだったように思う。なぜPHSだったのか?それは単に僕が電話代に多くをかけたくないという理由から、基本料金、通話料共に安いPHSしか選択肢がなかったからに他ならない。そして使い初めて1年ほどたった頃、今度はデータ通信がはじまり、ようやくモバイラーとしての目覚めを感じることとなった。ちょうどLibrettoを購入した年でもあったのでデータ通信についてはみょ〜に心躍り、また僕自身張り切っていた。ただ当時はまだPHSに”機種変更”という概念はなく、仕方なく新規加入しなければならなかった。今思えばまるで鎖国でもしているような感じだった。それでもPHSを選択した理由はやはりデータ通信料が安いということだった。携帯電話では遅いうえに高いという二重苦がのしかかってくる。それにたいしてPHSは割安なデータ通信が非常に大きな魅力だった。

 しかしPHSにも大きな欠点があった。切れやすいということである。もちろん普通に使っているぶんには多少切れたところで大きな障害はない。もちろんこれはパーソナルユースでのことだが。会話というのも面白いもので、用件だけ伝えるのであれば10秒で足りる。なのになまじ切れないがために無駄話をしてしまう。切れてくれるとちょうどいいということさえよくある始末である。

 ところがデータ通信の場合にはこれではいただけない。メールの送受信の途中であったり、調べモノをしている場合などは何度も接続しなおすたびにエントリー料金である10円が加算され、電話代と共にユーザーの首を絞めるということになる。実際この思わぬ伏兵が僕を苦しめた。まるでジャングルにひそみ、突然襲いかかるベトコンのような存在だった。しかもそれが中国人民兵のように人海戦術を使うに至って、このままではサイゴン陥落かという寸前までいったこともあった。

 とはいえ、それでも僕の電話代は5000円を越えなかった。モバイラーとはいえ、あくまで僕の場合”趣味”である。ビジネスユースであればこれが是が非でも使わずにいられない状況でガンガンと課金される結果となるだろうが、僕の場合は当時そこまで急なメールもなければ持って歩く必要もなかったのである。もともとGPS用途とデジカメの母艦、さらには枕元の小さな恋人くらいのつもりで使っていたLibrettoなので、データ通信できるからといってわざわざ使う必要もなく、使ったとしてもテストのつもりだったので特別不自由は感じていなかったのである。

機種変更
 長い前置きになってしまったが気を取り直してはじめよう。

 僕にとっては今回がはじめてのPHSから-H"に機種変更である。変更したのはPanasonicKX-PH32S → PanasonicKX-PH33S-Wである。ほんとはもうちょっと安くなるのを待ちたかったが、ぐずぐずしていると今度は夏には開始されるかもしれないという128k対応の時に乗り遅れる可能性がある。一刻も早く21世紀対策として機種変更しなければいけなかったのである(それでも次の機種変更は12月なので夏には間に合わず)。

 前述のごとく今回の機種変更が初-H"である。はたしてどれだけ使えるものなのか?とりあえず今のところこれといった違いは感じられない。一番変わったことと言えばシルバーだった本体カラーがパールホワイトへと変わったことくらいである。逆にイチからカスタマイズしなおさないといけないというのは、はっきりいって骨が折れる。しかも機種変更した際に同メーカーであれば電話帳も移行できるのだが、この電話帳移行に思わぬ落とし穴があった。電話番号は確かにそのまま移行できるのだが、名前のほうはカタカナのみが移行され漢字についてはイチから入れ直しになるのである。これまた結構骨の折れる作業なのでいささか憂鬱だ。

 どうせデータ転送できるなら、中身も含めて全部転送できるようにしてもらったほうが簡単でいい。もちろんこれを可能にするには簡単でない技術が満載で、技術者泣かせのユーザーの戯言ということになるかもしれないが。もしかすると僕が持っていた機種固有の問題なのだろうか?Panasonicだけがそうだとすると大問題だ。次のことを考えないといけなくなる。

選択肢
 選択肢は実際には他にもあった。じつは東芝のCarrotsはいつも有力な候補である。京セラのPHSはどうもデザインが気に入らない。東芝のCarrotsは美しいパールホワイト、それになによりもじつは”パソコンとのリンクケーブルがついてくる”のである。これが先着だったか期間限定だったかはわからないが、とにかく東芝のCarrotsに関してはそーとー悩んだことは事実である。64k対応のPCカードがついてきたなら、きっと僕は意識をなくしていたに違いない。だが、僕はPanasonicを選択したのである。松下の城下町に住む関西人の悲しい宿命なのかもしれない(ウソです、僕は京都人なので松下との関わりは一切ありません)。

 現在DDIPocketの-H"対応機種はPanasonic、京セラ、東芝、三洋からそれぞれ発売されている。三洋の-H"はデザインの美しさから女性に受けている様子だが、僕が使ってみた限りでは三洋の-H"は複雑なユーザーインターフェイスで使いにくい。やはり実際には技術とエレクトロニクスの東芝か、コピーのMitaはオレのモノ!の京セラか、レッツラー松下Panasonicの三社のうちのどれかということになるだろう。東芝のCarrotsに関しては道路交通法もなんのそのでイヤホン端子がついていないのである。この点に関しては点数があぶない走り屋諸氏、並びに駐禁ドライバーの方々には大きなマイナスだと言っていい。僕は点数も満点でなおかつゴールドの免許証を持っているが、やはり国家権力に対抗しようなどという愚かな考えには及ばない。なによりも僕はゴールドの免許証が自慢の一つなのである。過去に長期免停二回、罰金総額20万円という僕にとってゴールドの免許証こそ涙と汗、そして運の良さのたまものなのである。つまらないことでつまづき、この栄誉を捨て去るわけにはいかないのだ。東芝には非常に申し訳ないがそのような理由で選択肢からはずさせていただいた次第である。

 問題は京セラである。京セラはDDIPocket発足当初、非常に意欲的であったことをみなさんも憶えておいでだろう。そうデータスコープといえば京セラ、データ通信といえば京セラといわんばかりに京セラであった過去がある。”技術が欲しい”というあさましい理由でコピーのMitaを扮飾決算に追いやり、会社まるごと安く買い叩いた京セラではあるがその昔はとてもモバイラーにやさしいいい企業だったのである。データスコープをネタにしたホームページがいまだに多くあることからも、データスコープという電話機が我々モバイラーに与えた影響が決して少なくなかったことがわかるだろう。非常に個人的な見解で申し訳ないが買い叩くのがコピーのMitaなんかではなく、モデムメーカーでは世界イチだったUSRoboticsか有りし日のライオスシステムだったらと思わなくもない。そうすればきっと家でもモデムカードになるXJack仕様のデータスコープか、PHS内蔵PalmTopPC110なんて血迷ったものを創ってくれたに違いない。どちらも決め手に欠けることも事実だが、きっとピクピクっと心臓の鼓動を感じる製品になったことも想像に難くない。今からでも遅くはない。今すぐにGPS機能内蔵のCFベースのデータスコープ最新版を出してくれるよう要請したい。データスコープの大きさがあればSONYのIPS8000のOEM品を内蔵し、なおかつCFベースの-H"端末という究極のモバイルアイテムを完成させることができるはずだ!

 そんなわけで現実的な選択肢で残るのは、明るいレッツラー松下Panasonicしかないのである。しかもKX-PH33Sのパールホワイトはひじょうに美しい。いまいち間延びした感のあったKX-PH32Sと違い、デザインも洗練されている。逆にフリップタイプのKX-PH23Fについては従来機であったKX-PH22Fのほうがよかったように思う。シャープなイメージになってしまった今回モデルチェンジは美しさという点でマイナスが大きかったように思う。

 余談だが前の前の前くらいからPanasonicはじめ、PHSの選択肢に”黒”というカラーがなくなったのは非常に残念(KENWOODはあったかも?)。ウケなかったのかもしれないが、個人的にはキラキラしているものよりもシックな色のほうが持っていて恥ずかしくなくていい。それならはたしてパールホワイトはいいのか?という話がなきにしもあらずだが、これについては”美しい”という一点ですべてが許されている。

データ通信
 -H"登場以来、PHSの市場が今までになく盛り上がっているように思う。PHSはモデルチェンジをかさねる毎に確実に進化を遂げてきた。そして世間がPHSも悪くない、と思い始めたところに-H"という追い風が巻き起こった。もちろん自然に巻き起こったのではなく、DDIPocketが巻き起こしたのだが・・・

 僕がPHSを手に入れた当時、PHSは”安いが切れる携帯電話”の代名詞だった。Pメールが女子高生の間で流行り始めた時には”ぴっちは子供用”というレッテルをはられていた。しかし今、モバイラーであるなら-H"である。誰がなんと言おうと-H"である。64kという携帯電話に比べると非常に高速なデータ通信の速度。しかもこの2月からDDIはデータ通信の際のエントリー料10円を廃止した。データ通信に関しては決して他に勝るとも劣らない。

 もっともそのデータ通信機能を活かすためには64k対応のデータ通信カードも必要だが、あいにく僕は32kのデータ通信カードしか持ち合わせていないのでこれについてのコメントは控えたい。64kのデータ通信カードさえあれば、電話帳の編集もパソコン側でできるというのに・・・残念でならない。
 ただこれも選択肢の問題であって、前述のごとく東芝Carrotsについてはリンクケーブル付きだったようなので(あとで申し込みなのかも?)、イヤホン端子がなくてもいいという方には何も問題はないかもしれない。はたしてPメールDXを送信する機能などがこのリンクケーブルで使えるのかどうかは・・・わからない。

 夏には128k対応がはじまるという。64k対応の時にはNTTDoCoMoに遅れをとったDDIPocketだが、今回はNTTDoCoMoよりも先にサービスを開始することができるのだろうか?興味津々である。そしてまた128k対応になるとデータ通信カードなどはまた買い換えないといけないのだろうか?僕自身はそういうこともあって現在のところ32kのデータ通信カードから64k対応のものに買い換えの予定はない。夏以降に新しい128k対応端末が発売され、さらに新しいデータ通信カードが出た頃にまたこれについては考えたいと思っている。

 もっともすごい勢いで進化している通信機器をたとえ半年買い控えたからといって、次の瞬間また新しいものが出てくるわけで、結局いつまでたってもイタチゴッコが続いていくことに他ならないのだが。

まとめ
 今回-H"に機種変更したのは前のPHSをパカパカ落としている間に部分的な故障が出てきてしまい仕方がなく、という面もないことはない。実際前の機種でも困るようなことはほとんどなかった。ただ今回機種変更して、明らかに-H"が前のPHSとは一線を画すデキであることがよくわかった。まず切れにくい、というか町中では十分無敵。そして小さな液晶に以前は大きな全角文字が読みにくく並んでいたものが、小さな全角文字表示ができるようになり、一画面に表示できる情報量が一気に増えたことは非常に大きな利点である。これは-H"が十分な電話としての機能とメール端末として機能の両方を手に入れたことに他ならない。

 携帯電話/PHS共にここ何年かで非常に進化している。そしてごく簡単なメールだけであれば、電話だけでも何も困らなくなってきている。これはすごいことだ。-H"とはいえ文字入力がしにくいのは電話機なので致し方ない。しかしさらに進化して、もっと打ちやすいキーを備えた画期的な携帯電話機が登場したとすれば、パソコンを捨てる人も中には出てくるかもしれない。すでにメールだけであればポケットボードで十分という人も世の中にはごまんといる。そう遠くない未来、携帯電話機でパソコンの代用ができるようになった時、パソコンはそれでもまだ台数を伸ばすことができるのだろうか?きっといつかカラーテレビと同じに頭打ちになる日がくるような気がしてならない。それが進化なのか?その時Librettoのようなミニノートの存在価値は今よりさらに肩身の狭いものになるのだろうか?それはそれで進化というものがうらめしく思えて仕方がない。

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