GPSレポート トラベルルートナビの巻

営団地下鉄は燃えているか?
 「新幹線大爆破」という映画があった。新幹線爆破予告をする犯人役に高倉健、新幹線の運転手役にソニー千葉という配役は今思うとそれは逆だろう、とツッコミたくなるものだが、このイチゴ大福的なミスマッチがこの映画を傑作へと導いた。もっともそれなりに面白い映画なのだが、いかんせん昭和50年という制作年と昭和30年代から変わらぬ特撮で撮った映画なので、部分的に「マトリックス」に及ばないのが残念である。せめてソニー千葉がビュンビュン飛び跳ねていればきっと「マトリックス」のへなちょこカンフー、キアヌ・リーブスにも負けない映画になっていたはずだが、残念ながらソニー千葉にあって飛ぶことはおろか、アクションがほとんどないという体たらくな作品であった。50億円かかったらしいがいったいどこにその金が消えたのか今もって謎である。3億円事件よりもこの映画の50億円の行方のほうが気になるのは僕だけだろうか。

 なんだか随分気の抜けた映画紹介にはじまった今回のレポートだが、別にこれと本編はまったく関係がない。あくまで新幹線ナビを最終目標とする僕がいつも思っている疑問と”新幹線”というキーワードの繋がりから思いついたことを書いたまでである。ここからはきれいさっぱりそれを忘れてもらってレポートに集中していただきたい。

悪魔の棲む場所
 北海道の地下鉄は地下を走っていないらしい。じゃなぜ地下鉄なのか?一説には”地下のように暗いところを走っている電車”=”地下鉄”ということらしいが、その真偽のほどは定かではない。

 営団地下鉄も地下鉄という名前なのに、なぜかお天道様の下を突っ走り、朝の早くから接触脱線事故を起こすに至った。地下鉄恐るべしである。そんなこんなもあって僕は地下鉄は嫌いである。第一に面白くない。外の景色が見えるぶんには電車でも車でも楽しいが、外の景色が見えないと単に動いている椅子と変わりない(満員電車であれば立っているだけかも)。そんなぼーっとした時間に何をしているかと言えばたいてい天井に吊ってあるエロ週刊誌か女性自身誌の広告を読むかして、たまにおおっなどと考えをまとめてみたりする。さらにすることがないとドア付近にある路線図の駅の名前を順番に読んでいく。声を出すわけでもなく、ただひたすら行ったことのない場所まで駅をたどっていく。

 なにより地下鉄が嫌いな理由、それは駅弁を売っていないことである。さらにはその車内で何かを食うという余裕が感じられないのがイヤで仕方がない。旅の楽しみは食べることであり、見ることであり、寝ることである。だから地下鉄では旅にならない。加えて地下鉄は会社という荷台に人間を運ぶベルコンベアの親戚のようなものである。中にいる人間は石ころとだってたいして変わらない。

ブタペストってどこですか?
 旅を楽しむのであれば地図を広げよう。地図の上なら世界中だって旅ができる。中には金がなくて島国日本から一生這い出すことができずにいる人も少なくないが、そんな人であっても地図の上では空を飛ぶ鳥よりも自由である。しかもその地図は何も1/1000の詳細地図でなくてもいい。義務教育で使ったあの昔懐かしい、未だに何を勉強したのかさっぱり覚えていないあの地図で十分である。

 しかし地図の可能性は金のない人のバーチャルリアリティのためだけではない。地図はそこに自分の影を投射することによってさらに活かされるものである。そしてそれを実現するためのシステムがGPSである。

 前述のように基本的に地下鉄はお天道様とは無縁なので、GPSに関しては駅毎にPHSの位置情報サービスで検索をかけるくらいしか方法がない。ただこれも駅名がわかっている状態なので、はたして何をしているのかさっぱり意味がない。今はどこだろう?という未知がGPSのワクワク感を増大させるのである。

 ところが世の中に存在する多くのGPSは”カーナビ”という俗称を持つほどで、私鉄はおろか新幹線だって蚊帳の外である。しかしパソコンGPSは俗称”自転車GPS”と言われるほどで、極端な話、自転車だってバイクでだってGPSで遊ぶが可能である。持って歩けるということはそれだけ自由度が高いということに他ならない。

 単に持って歩けるGPSということであれば、前回レポートした”でるナビ”がいい。ただしかしこれも電池のもちがハンパじゃないくらいに悪い。そう思うと最近のノートパソコンのバッテリー駆動時間は目をみはるものがある。さらに言えばLibrettoM3は大容量バッテリーで4時間と”でるナビ”よりもはるかにバッテリー駆動時間は長い。もっともLibrettoM3もPCカードを差し込んだ状態ではそこまでもつかどうかは怪しいが、少なくとも移動時間の間に現在地を調べ、行き先を調べるには十分な時間駆動すると言える。そして日本国内をウロウロするぶんには何かと便利な”でるナビ”だが日本を一歩飛び出すとまず地図がなくて役立たず、テレビ部分はチューナーが違うので役立たずということになり、まったく遊べない機械となってしまう。

 そういった意味でもパソコンGPSの可能性はまだまだグローバルに開けていると言える。世界に飛び出すのであればパソコンGPSである。そして世界に飛び出す時に乗るのが近所の駅から乗る私鉄沿線である。

ルート検索開始
 Navin'youにはトラベルルート検索という機能がついている。これはハイパーダイヤというソフトと連携し、Navin'youの地図上で電車ナビが可能になるというものである。もちろん電車に限ったことではないようだが、基本はやはり電車ナビ用である。実際これがどこまで使えるのか?今回のレポートはそれを探求しようとしたものである。

 まずルート検索をかける。この場合、ハイパーダイヤがインストールされていないとトラベルルート検索はできない。というよりも、トラベルルート検索部分はまさにハイパーダイヤそのものだと言っていい。Navin'youに関してはそれを地図上に表示しているだけである。

 トラベルルート検索自身は特別難しいものではない。ドライブルート検索と同じく、目的地と経由地、そして出発地を入れて検索をかけるだけである。検索をかけると考えられるルートのうち3パターンが表示される。もしかするともう少し表示される場合もあるのかもしれないいが、僕が何度がテストしたうえでは3パターン表示された。それぞれ時間優先、距離優先、費用優先となっているようである。ただどれも特別な違いはない。どこで乗り換えるのかそれくらいの違いだけで、特別違うわけではないのであまり考えることない。そしてたいてい”ルート1”を選択する。逆に”貧乏ケチケチルート検索””駅弁食べ歩きルート検索”、京都や奈良では”神社仏閣総なめルート検索”などバラエティに富んだものもほしかった気がする。そういう意味では遊び心が足りない。

 遊び心に欠けているのであれば、逆にユーザーが遊ばねばいけない。ということで、すぐ近所の阪急電鉄に乗り込み、他の乗客からの白い目を気にしながらもナビの実験を決行した。他の乗客からは確かに遊んでいるようにしか見えなかったはずである。と同時にあまり賢い客にも見えなかったことは、訴えかけるような目がそれを物語っていた。

▼阪急電車にてナビ中の画面。
マップマッチングはオフになっている。
SA解除後もズレないわけではないことがよくわかる。

 

▼さらに拡大画面。
黄色い線がトラベルルート検索したもの。
真ん中の細い水色が阪急京都線、その左が現在地とその軌跡。

 肝心のルート検索の結果は地点と地点を直線で繋いでいくもので、ドライブルート検索とは違い線路に沿ってナビをしてくれるというものではない。よってそれ単体ではあまり役にたちそうにない。というか面白くない。やはり自分が進んでいる道を案内してくれるほうがワクワクする。かといって駅から目的地までのルートはドライブルートの道を検索してくれるのかと言えば、これもドライブルートとは違いトラベルルートモードでは鉄道路線以外の場所でも地点と地点を直接繋ぐだけのものである。どうもやはり面白さに欠ける。パソコンGPSはカーナビと同じものではなく、カーナビ以外にも使用できるナビの可能性を示唆している。もちろん使うのはカーナビという用途が一番多く、歩いてナビをするようなことはまずほとんどない。しかし、それでもやはり無茶をしてほしい。歩いてナビモード、チャリンコナビモード、そしてなによりも僕が欲しいのが鉄道マニアと結託して作り上げた電車ナビ(新幹線ナビ)モードである。そして最終的には飛行機ナビモードを実現してほしい。

まとめ
 最近はパソコンGPSからPDA-GPSにトレンドが移り変わってきているような気がする。携帯電話も位置情報サービスを利用してGPSが可能になってきている。しかしやはりパソコンGPSのように大容量のデータを持ち歩き、さらには仕事をしながらナビをするという非常に高度な技を使えるのは今も昔もここ当分の間もパソコンGPSだけである。そして大容量を活かしたナビの進化系は”究極のトラベルルート検索”である。前述のナビモードの他、観光ナビ、食べ歩きナビ、買い物ナビと用途にあわせたナビを実現することができれば、さらにパソコンGPSが面白くなっていくに違いない。

 そしてこれをもっと効率的にするために携帯電話機の位置情報サービスとの連携は欠かせない。データ通信をしながらWeb上のデータと位置情報を画面上に表示することで”究極のトラベルルート検索”はブラウザのみで完結する。ただそうなった時にはPDAでのナビも現実的になってくるので、はたしてパソコンGPSの可能性は”究極のトラベルルート検索”のシュミレーションなのかもしれない。

 Web上のデータにアクセスするということは少なからず通信料金がかかってくる。当然時間も消費される。しかしローカルなマシンの中にそのデータが存在すればこの部分に関してはお金も時間もかからない。

 ナビを使用するのは何も出先からだけとは限らない。というよりもどこかへ出る際には必ず事前に計画を立てる。そんな時に必要なのがシュミレーションである。もちろんこれもWeb上で実現できるようになる日はそう遠くないかもしれない。しかし携帯電話会社にしてもプロバイダにしても利用料がタダなら、どこかでその採算をあわせないといけなくなる。広告収入だけで実現できるものであればともかく、多くの場合、その通信料によって収益をあげていく。ということは、当分の間利用料金が割安に感じられるような日はこないということになる。

 こうやって考えてゆくほどにパソコンGPSの将来はLibrettoの未来にも似た何かを感じずにはいられないが、少なくとも現在はまだまだ十分に魅力的な選択肢であると言える。なにより僕はまだまだパソコンGPSから離れられそうにない。なんのことはないそれが一番楽しいからであるが、その気持ちがなくならない限りGPSレポートを書き続けていきたいと思っている。はたして誰も読まなくなってしまうその日まで。

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