GPSレポート 衛星を捕まえろ!の巻

千葉目前
 PCGPSと言えばI/Oデータが販売している400kmの誤差が出るという究極のGPSアンテナユニットである。もっとも現在のバージョンはそんなに差が出ることはなく、せいぜい100〜200m程度である。これではあまり旅をした気分にはならない。50m先のコンビニに行く時でさえ、千葉の手前まで飛んでから50m先のコンビニに着くほうがどれだけ面白いか知れない。このへんGPSアンテナユニットにはユーモアというものが欠けている。I/OデータのPCGPSはそういった意味では本当に面白い製品だと実感していたのだが、そのユーモアが認められることはなく、リコールという形で処理されてしまっているのはまことに残念でならない。数百kmの誤差を平然と”仕様です”と言ってのけてしまうくらいの洒落っけがほしかった。もっともシャレですめば・・・の話だが。

 そして今回、僕はこのPCGPSのレポートを書くためだけにhyo-chanさんから貴重なPCGPSをお借りした。内心とんでもない誤差をワクワクしながら期待していたのだが、残念ながら賢明なhyo-chanさんはすでに新しいものと交換されていた。どうも僕は旅行には縁がないらしい。なんにせよ、hyo-chanさんからこれをお借りすることがなければ、きっとこのレポートを書くことはなく、そして僕自身、店頭で指をくわえてPCGPSのパッケージをじっと見つめるしかなかったことは明白である。貴重なGPSアンテナユニットを多大な危険をかえりみずに僕に貸してくださったhyo-chanさんにこの場を借りて謝辞の意を示したいと思う。hyo-chanさん、ありがとう!このご恩は24時間忘れることはないでしょう。明日も明後日も、その次あたりにはすでに怪しくなっていると思いますが、今この時、僕は本当に心から感謝しています。本当にありがとうございます。これからも星はきっとhyo-chanさんを守り続けることに違いありません。ああ、ハレー彗星はまだ遠く・・・

D-GPSとその他と
 PCGPSというと一番はじめにD-GPSに対応したパソコン用のGPSアンテナユニットである。現在ではIPS-8000他、数種がD-GPSに対応、もしくは対応を表明しているが、発売当時はPCGPSしかD-GPS対応のGPSアンテナユニットは存在していなかった。

 当初別売りのD-GPSユニットが必要になるのかと思われたが、現在はi-Point network というサービスを利用することによりD-GPS機能を使うことができるようである。もっともこれを使うためには基本的にダイヤルアップ接続が可能な環境が必要になるので携帯電話機+接続キットが必要になる。さらにはこのi-Point networkは有料会員のみのサービスであり、またそれに接続するためには対応のソフトも必要となるので案外安くはないようである。

 PCGPSの魅力はD-GPSに対応しているというだけはない。多くのマシンやOSに対応していることも見逃せない。SONYのUSB-GPSユニット(HGR1S)がWindows98のみしかサポートしていないことを考えるとPCGPSがWindows95/98、さらにはWindowsCE2.1(2.0以前はサポート外)にも対応しているというのはマシンを選ばずに使えるので非常に便利である。通常のWindowsパソコンよりも安価なWindowsCE機レベルでGPSアンテナユニットが正式にサポートされるということは、パソコンGPSを実行するうえで少しでも初期投資を抑えられるということでもあり、これについても前向きな姿勢を実感することができる。

 ただ一点、D-GPSに対応することでGPSの誤差を最小に抑え、精度の高い測位を行うことができるのは素晴らしいが、SONYのUSB-GPSユニットが16チャンネルのアンテナユニットなのに対して、PCGPSは従来型の8チャンネルのアンテナユニットなのは少し残念な気がする。

GPSR5200との比較
 相変わらずのGPSR5200との比較を行ってみた。いつも通り京都の街中を適当に流して、適当にテストした結果なので、信頼性は非常に薄い。そんなレポートでも読んでみたいという方のみ、先に読み進んでいただきたい。

 まずは初期測位時間から。場所は相変わらずのまわりのひらけた駐車場、僕の背の低い車の中で測位した。GPSR5200が1分少々、対するPCGPSは3分弱かかった。GPSR5200は名機IPS5000の後継機であるIPS5200、PCGPSはEPSON製のアンテナユニット(おそらく同社製品のLocatioと受信部は同じなのでは?)、初期の測位時間に関してはIPS5200自身の感度がモノを言ったといったところだろうか。基本的にどちらも8チャンネルのアンテナユニットで仕様表に示される性能的な差はほとんどない。逆にPCGPSのほうが一度測位した後では、衛星の位置を記録し、次の測位ではそのデータを元にあらかじめ衛星の位置を捕捉するようになっているので、実際にはPCGPSのほうが完成度は高いはず・・・なのだが、一度測位するまではやはりアンテナ自身の感度がそのまま時間になってあらわれたようである。

▼GPSR5200とPCGPS、それぞれのモニター画面。
受信中は特別大きな違いは感じられない。

 実際使ってみて驚いたのは、やはりPCGPSの補足した衛星の位置を記録して、再捕捉を高速にするというのは非常に有効な方式のようで、一度測位した後では移動中であってもなかなか衛星を捉えて離さない。ただしあくまで2D測位の延長のようで、衛星を擬似的に一つそこにあるように見立てているのか、その精度に関してはほめられたものではない。確かに衛星は捕捉したままなのだが、200m以上の誤差を平気で出してしまう。これではたとえマップマッチング機能を使ったとしても大きな通り一つぶんくらい飛んでしまう可能性もある。速いのはいいが精度がおざなりというのはどうしたものか?

 確かにGPSR5200が何も見えていないような状態の時でも受信しているようなので(ただし突然数百m単位で誤差がある時もしばしば)、感度はよさそうに見えるのだが・・・個人的にはなんだか眉唾の部分もなきにしもあらずといった印象を受けた。ただやはり衛星をロストしないというフリだけでもストレスを感じずにすむので、精神衛生上PCGPSは十分に貢献しているように思う。

▼ん・・・? なんか違うぞぉ〜
PCGPSの精度に疑問を感じてしまう一瞬。

 GPSR5200のアンテナ部分であるIPS5200は受信感度、精度共に悪くないGPSアンテナユニットだが、PCGPSに比べてGPSR5200という製品自体が一世代前の製品であることは否めない。GPSR5200が発売された当時はこれほど受信感度のいいGPSアンテナユニットは他にない!と驚いたほどだったが、今回のPCGPSとの比較で、アンテナ部のデキはともかくそれ以外の部分でも大きく技術的に進化していることがよくわかった。こうした技術的なものがPCカード部の進化であるとすれば、アンテナ部をIPS5200に変えればさらに素晴らしい製品になるのではないだろうかと、ついついよからぬことまで考てしまう。さらにいえばIPS8000シリーズの受信感度、さらには精度の良さがあればより完璧なものになるだろう。SEIKOEPSONはそのあたりSONYと手を結ぶという気はないのだろうか?IPS8000、そしてその次の機種、さらにはSEIKOEPSONの次機種に期待したい。

雑感などなどなど
 PCGPSは現状手に入るPCカードタイプのGPSアンテナユニットとしては、高性能かつ安価であり選択肢として十分に有効である。ただしやはり精度の問題に関しては疑問が残る。数百kmという単位で誤差を出すという不具合で回収騒ぎにまでなってしまった製品であり、なおかつ回収後の製品であっても完全ではないというウワサをよく耳に(目に)するので過信は禁物である。そして衛星の位置をある程度記憶するというすごいシステムによって再測位の時間を劇的に短くしたPCGPSだが、この機能はある一定の距離を移動した後では再測位ではなく、もう一度はじめから測位を行っているようである。車で移動している際には問題ない距離かもしれないが、はたして新幹線ではどうなのか・・・?また新幹線ナビに対する欲求がふつふつとわいてくるのをいつまで抑えられるのか。自制心の糸がぷっつりと切れてしまったその時にはまた帝都オフが開催されることになるだろう。

 今回評価に使ったソフトがマップマッチング機能のないソフトだったので、正常にマップマッチングが行えるかどうかについては詳しくはわからないが、PCGPSに関してはD-GPSとの連携を行ってこそ、その真価を発揮するのかもしれない。とすれば現状での疑問はD-GPS機能を使った際には、問題なくなる可能性も少なくない。ただその真価を発揮するためには、M3であればUSB内蔵とUSBの携帯電話機との接続ケーブル、さらにはi-Point networkへの加入など越えなければいけないハードルが少なくない。これが百式あたりであればもう少し使い勝手がいいのかもしれないが・・・

 CE2.1に対応しているということなので、次期製品ではCFタイプのものを発売してほしい。そうすればハンドヘルドPC、さらにはPocketPCでの簡易ナビゲーションが可能になり、さらに便利なPocketGPS端末として利用することができるようになるだろう。

まとめ
 PCGPSはSONY製のレシーバーを使っていないからか、SONYのNavin'youなどには標準で対応していない。最近になってようやく対応のナビソフトが登場してきているが、やはりパソコンナビソフトの標準と言われるNavin'youでサポートされるようになってくれないことにはそのままでは使いづらく、初心者にはおすすめできない。もっともそうしたことをふまえたうえで対応できる有識者には十分に楽しむことができるGPSアンテナユニットであることは間違いない。

▼左がPCGPS、右がGPSR5200。
上がIPS5200、下がPCGPSのアンテナ部。
大きさの違いは一目瞭然。

 さらにアンテナが他の製品に比べて小さいことも大きな魅力である。このアンテナ部分は強力なマグネットになっており、車の屋根などにペタっと貼り付けることができる。ただしうちの車の場合、屋根がグラストップ、いわゆる全面ガラスなのでこれを有効に使うことはできなかったが・・・

 今後はさらなる小型化、そしてNavin'youに対応することによって、GPSアンテナユニットとしての存在価値を大きくしていってほしい。現状でも十分に魅力的な製品だが、どちらかというとアンテナ自身の受信感度よりもまわりの機能に助けられている感が大きいので、今後は前述のようにアンテナの受信感度を少しでもあげることでさらに完成度がアップするのではないだろうか。

 今回はhyo-chanさんからPCGPSをお借りしてこのレポートを書いているが、次の機種がCFベースでなおかつ受信感度が改善された機種であればきっと僕は発売日にパソコンショップに駆け込むに違いない。それくらいPCGPSは魅力的な製品である。ただしやはり今すぐ走らないのは頭の中に、一抹の不安を抱えているからに他ならない。ある時突然千葉の手前に瞬間移動したとしたら・・・?僕はそう考える時、夜も眠れぬ恐怖に襲われるのである。

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