PowerShotS10

結論
 はじめに結論を書いたうえで話を進めたい。
 PowerShotS10はCanonが満を持して発売した200万画素のデジタルカメラである。これだけなら他のメーカーからも多くの機種が発売されているが、PowerShotS10に関してはその中で最小、そして最高のデザインのデジカメである。性能的には雑誌の評価記事を見る限りではNikonのCOOLPIX800のほうが画質からして優秀なようだが、少なくとも僕の所有欲を満たしてくれるモノとしては物足りないと言わざるをえない。確かにニッコールレンズは魅力的だ。しかしそれは性能に含まれる部品としての輝きであって、デジカメという製品としての素晴らしさとは総合的、部分的という意味で全く違う。PowerShotS10は飽くなき僕の物欲と所有欲を満たしてくれた。それはモノとしての完成度が並々ならぬものだったからに他ならない。

 と、これだけ力説したのだから、これを読んだ方は今すぐにでも発注を入れられたし。最近は便利なもので夜中であろうと日中であろうと、外国であろうとトイレの中であろうと、Web上で24時間オンラインショッピングが楽しめる。そしてその便利な機能を今こそ利用するべきである。さぁ 今すぐお電話を!

市場
 僕はCASIOのQVが大好きだ。QVシリーズのいいところは遊び心という点に尽きる。他のメーカーとは一線を画す遊び心の多いQVシリーズは、あまりに遊びに走りすぎたためかデジカメの未来を切り開いたデジカメだったのに、今や誰からも忘れ去られてしまったと言っても過言ではない。これはとても悲しいことだ。学生時代、あれほど人気者だった友達が、いつのまにかぽっくりこの世を去ったような、そんな感覚だ。しかし実際ほんとにQVシリーズの灯が消えたのかといえば、QV5000シリーズを除いて、じつは7番台以降のシリーズはけっこ〜いいデジカメを出している。

 QV7000SXは非常にいいデジカメだったが記録時間に問題があった。遅かったのだ。現行のQV8000SXはQV7000SXのバージョンアップ版だがズーム倍率が変更になり外観が若干変わっているものの、Type-2のCFカードがいけないなど従来機をひきずった仕様になっている。ただ大きく変わったのはバッファメモリを搭載しているらしく従来機のように待たされることがない。サクサクと撮影できるのがすごいところだ。ところが最近のQV不人気を象徴するかのようにQV8000SXは店頭ではほとんど見かけない。兵どもが夢の跡である。

 見かけないでいうとPowerShotシリーズもあまり見かけない。従来のPowerShotは動作が遅く、画質も良くはなかった、それにバッテリーも持たずではどうしようもない。しかもそれがA5、A5ZOOM、A50と続いたもので店頭からも次第に姿を消していった。これまた悲しいことだ。結局売れないことには置いてさえもらえないのだ。世の中はOLYMPUSとFUJIFILM、それにNikon、デジカメはたったこれだけで足りる。CASIOもCanonも蚊帳の外なのだ。

 しかし今回のPowerShotS10に関しては従来のPowerShotとは形こそ似ているが中身はまったくの別物と言っていい。まず速い。そしてカッコイイ。ようやく中身が形に追いついたということだろうか。ただ相変わらずバッテリーのもちは悪い。これはご愛敬といったところだ。

比較
 比較といって僕が持っているデジカメはQV770にPowerShot350、それにRICOHのDC-2Lといった古いデジカメばかりなので比較するにも難しい。しかし最新型の情報も交えて書いていけば、一対一の対決はともかくメーカーごとの比較くらいはできるように思う。というかする。なぜかデジカメ好きの僕でもあるのでそのへんは詳しくとはいかないまでも、独断と偏見でシビアに比較していきたい。

 まず、外観。これに関してはPowerShotS10は今まで発売されたデジカメの中でも随一のデザイン。このデザインが僕の物欲を刺激し、今回発売日に購入というLibretto50以来はじめての快挙を成し遂げた。デザインに関しては完璧だといっていい。質感の高いメタルボディ、洗練されたデザイン、どれをとっても他と比べるまでもない。大きさに関してもジャストサイズというべきサイズで、これ以上でもこれ以下でも持ちにくく、まさにこれがぴったりと言える。

 次に動作である。QV770は遅い外部記録メディアではなく内蔵メモリへの書き込みのために思った以上にスカスカと軽快に動いた。QVはパシっとか、カシャっとかそういった音がないのは少々不満だが用途によっては音があっては困るものもあるだろう。これは一概に悪いとは言えない部分かもしれない。これに対してPowerShotS10は200万画素という高画質のためにきっと随分記録に時間がかかるであろうことが予想された。実際PowerShotA5/A5ZOOM/A50というA5シリーズはお世辞にも速いとは言えない、まさに格好だけのデジカメだった。ついでに言うと画質も良いとは言えず、普通に撮ると美しい女性の顔が雪女のごとく青く写るという特性を持っていた。しかしこのPowerShotS10に関しては前モデルとのギャップがありすぎるためか、それともほんとに速いのか、とにかくまったくストレスを感じないくらい軽快に撮影ができる。また青い顔も随分マシになった。若干以前の特性を継承しているものの、以前の画質とは比べモノにならない。動画が撮影できないのが残念といえば残念だが、特別必要な機能とも思われないので問題ないだろう。

 さらに撮影した画像の閲覧に関してもPowerShotS10は高画質モデルを感じない速さでサクサクと画像を見ることができる。惜しむらくは高画質な画像であるのにTFTとはいえ液晶画面が小さく、実際きれいに写っているかどうかまでは確認しづらい点だろう。明度をあげるだけでも随分はっきり確認できるようになると思うのだが、これはバッテリーのことも考えて明度を抑えているのだろうか。液晶画面の明度は若干暗く感じる。しかしそれでも撮る、見る共にPowerShotS10は非常に素晴らしいデジカメだ。あくまで画面は撮れているかどうかの確認用だし、結局きれいに撮れていなければもう一度撮影すればいい。現像してみるまでわからない普通のカメラに比べれば随分良心的な仕様だと言っていい。このへんは妥協点というべき点だろう。

 ズームは従来機のPowerShotA50に比べ2.5倍ズームだったものが2倍ズームへと逆にグレードダウンしている。これはスタイリッシュな外観を優先させたための選択だったようだ。おかげで本体は従来機に比べ薄くなっている。ズームの品質については十分満足のいくものだ。デジタルズームについては使っていないのでよくわからない。しかしデジタルズームははたして使う意味があるのかどうかさえ疑問なので、これについてわざわざレポートするまでもないだろう。購入前、不安だったのはこのズームがRICOHのDC-4のようなカリカリ音のするズームだったら?ということだった。だが実際はその不安はいいほうにはずれた。SONYのCyberShotF505にはズームの速さも倍率も負けてしまうが、かといってストレスを感じるほど遅くもない。コンパクトカメラレベルのズーム機能というのがぴったりの表現かもしれない。ようやくデジカメもコンパクトカメラに置いついてきたといっていいい。ただしそれにしては値段が倍なのが気にかかるが。これはそのうち解決される問題だろう。

 PowerShotS10の一番の泣き所といえばやはりバッテリーと言わざるをえない。僕がはじめて購入したデジカメRICOHのDC-2Lはアルカリ乾電池4本を30分で消化してくれた。おかげで当時はいつも予備の電池を持ち歩き、デジカメ本体よりも電池のほうが重かったりもした。これじゃまったく本末転倒だ。QV770になって予想以上に電池が長持ちするのでこいつはえらく重宝した。ただスーパーニッカド充電池を使っていても電池の残量が少なくなると途中で平気で落ちてくれた。実際の駆動時間は思ったよりも短かったかもしれないが、コンビニでも手に入る単3の電池だったこともあり、あまり気にせずに撮影することができた。それよりも先に手に入れていたCFの使えるデジカメPowerShot350は画質こそよくなかったが、1センチ近くまで寄ることのできるマクロ機能、それに充電池を本体に入れたままで充電できる機能など思った以上に便利でQV770と共に僕のデジカメ史の中で一時代を築き上げた。

 話をPowerShotS10に戻そう。PowerShotS10は専用の充電池もしくはカメラ用の安くないリチウム電池を使用する。リチウム電池を使えばけっこ〜長持ちするようだが、多少長持ちしたからといって使い捨ての電池に毎回1500円も払えるほど僕はブルジョワではない。充電池ではほんの30分ほどでバッテリー切れとなるがこれは1本3900円(税別)程度の実売価格なので4,5回充電すれば元がとれる。さてさてバッテリーを購入しようとすると、これが単体では売っていても充電器がついていない。PowerShotS10にはカメラ用のリチウム電池がはじめから付属しているものの充電器もバッテリーも入っていないという、じつは購入時に+1万円かかりますよ仕様というあこぎなもの。結局仕方がないので充電器セットをBUYしたうえに、後日予備のバッテリーまで購入してしました。これじゃまさにCanonの思うつぼ。やられてしまいました

 最近のデジカメはバッテリーのもちに関しては一律にグンとよくなったのに、なぜだかPowerShotS10だけはこれだけが改善されていない。さらに言うと以前は充電池を本体に入れたままACアダプタを挿しておけば充電してくれる極楽仕様だったのにPowerShotA50から充電池を抜き、充電器の上に置かないといけなくなってしまっている。さらにさらにACアダプタを差し込む差し込み口がなくなり、充電池の格好をした電源をかわりに入れるというけっこ〜ややこしい仕様になっている。これだとはたして電源部分の開閉蓋が壊れないか心配である。以前のようにACアダプタさえあれば電池の充電機能は本体についています、というほうが便利だったのに。やはりこれも本体をスリム化するための苦肉の策なのか?

ライバル
 ライバルといえばこれはやはりNikonのCOOLPIX800だろう。本体の価格設定もまったく同じ89800円。200万画素のズーム付きデジカメ。基本的な仕様は見た限りでは同じようなものといっていい。しかし画質に関してはやはりCOOLPIX800に軍配があがるようだ。これは僕自身、実機を見ていないのでなんとも言えないがCOOLPIX950を世に出したNikonのデジカメだけにこれに近い絵だとすればまず間違いなくPowerShotS10の負けである。しかもCOOLPIX800は単3乾電池が使える。バッテリー性能が同じようなものだとしても安くで気軽に手に入るアルカリ乾電池という点はポイントが高い。それに単3乾電池ということはバッテリーキットの必要がないのでじつは初期購入費用が1万円安くなる。

 しかし画質については200万画素のデジカメということもあり、すでにどちらもある程度のクオリティを持っている。ということは乾電池か充電池かという選択になる。確かにPowerShotS10のほうがバッテリーキットのぶん高くはなるがPowerShotS10のデザインはその価格差を埋めるにあまりあるデキである。かたやCOOLPIX800はプラスチックボディということもあり、最終的にこのあたりにモノとしての価値を見出せるかどうかが選択の分かれ目だろう。僕はPowerShotS10を選んだ。

canon2.gif (15781 バイト)

まとめ
 PowerShotS10は仕様表に記録方式がDCFなどと書かれているのではじめJPEGじゃないんだろうかと不安になったりもした。もしJPEGでなければパソコン接続キットをさらに1万円出して購入しないといけないことになる。これには頭を悩ませたが結局JPEGそのままだったのでパソコン接続キットを別に購入する必要はなかった。そのかわりに充電池をさらに買い足すこととなったが、まあこれは許容範囲だ。何よりいつ電池が切れるかそればかり気にしていたらオチオチ写真も撮っていられない。これは保険料のようなものだ。バッテリーさえもう少しもてばほとんど完璧なデジカメだったのにそのあたりは残念に思う。

 とにかく現時点では200万画素デジカメの中で最小というコンパクトさ、加えてシンプルで美しいデザインを持つPowerShotS10は特筆に値する。少なくとも僕の所有欲を満足させるに足るデジカメである。あとは機能を選ぶか、デザインを選ぶかでCOOLPIX800かPowerShotS10ということになるのではないだろうか。両機共にCFが使えることもポイントが高い。200万画素という画素数から生まれる高画質な画像を保存するためにも大容量メディアへの対応は不可欠である。スマートメディアのように毎回新しい容量が発表されるたびにデジカメ本体を買い換えないといけないようなことになってはまったく本末転倒だ。そうしたことからもスマートメディア採用のデジカメは将来が不安ということもあって選択肢からはずれてしまう。SONYのメモリスティックなども同様の扱いだ。SONYのCybershotF505もCF対応だったらもしかすると選択肢に入っていたからもしれない。あのズーム機能とデザインについてはびびびっとくるものがあるが、Cybershotシリーズの売りだった記録時間の速さを犠牲にしてまでメモリスティックを採用する意味があったかどうかは全く疑問である。結局のところ、COOLPIX800とPowerShotS10の2台以外は値段が高いこともあるが選択肢に入るようなものがない。あとはどちらかを選択するだけだ。いいと思ったらすぐにBUYしよう。そうでないとストレスがたまってそのうちわけのわからないものにお金をつぎこんでしまって、あとには何も残らない。それが世の常というものだ。物欲全開にしてすぐにでもパソコンショップに駆け込もう。それが唯一大いなるストレスという敵から自分を守る道なのだ。

Back?